皇室御用達として有名な、京都の唐織メーカー山口美術織物の献上春菊文袋帯です。平成5年における皇太子殿下のご成婚の際、山口美術織物が皇室に唐織の帯を御嘉納したことから「御御帯」と名付けられた帯の一つなのだそうです。加えて、献上菊花文は、現在生産が終了している希少な品だと伺っております。(色違いで何色か展開があるようでしたが、上品ながらも可愛らしいところが気に入りました。)5～6年前にお祝いか何かで用意して貰った品です。帯の両脇には縁取りのように金糸で菊唐草を、中央部分には純白のマーガレットのように清楚な春菊の花を一面に織り込んだ、気品ある逸品です。唐織は、京都西陣を代表する伝統的な絹織物で、江戸時代の極めて装飾性の高い美術織物がその源流です。装飾を目的としては舞楽の装飾禁中御用の特別な包裂、神社の戸帳、神輿の装飾などに用いられており、美術織物としては 名画や名筆を手本として作られた織物で、原画のもつ筆致や雰囲気を織物の世界に変換再現することは至難ともいえる創作を可能にした京都西陣の織匠たちの飽くなき努力の賜です。軽くてしっかりした錦地に、ボリューム豊かな風合、 多くの色合いを重ね持つ浮織で織られた絹織物が本物の「唐織」と言われています。そんな唐織物の中でも、皇室・伊勢神宮御用達として有名な、京都の唐織メーカー山口美術織物はもともと帯地が専門だったようですが、同時に能衣装や打掛も手がけており、最近ではきもの地も織られています。ＴＶドラマへの衣装提供をされていることでも有名ですね。縦糸に生糸一本だけを使う唐織りが特徴で、蚕からとった糸をそのまま漂白せずに使用しているので、セリシンを落とすことなく、強い糸に仕上がるそうです。通常、2.3本をよじらして使う縦糸を、たった1本で織ることにより、反物そのものの重量を軽減できるため、重量の増えがちな内掛けや能衣装にぴったりの織物なのだそうです。まだ出品を悩んでいるため、急に取り止めてしまうこともあるかもしれません。その場合は申し訳ございません。